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厳しさとは優しさの裏返しだということを言う人もいますが、たしかにそう思える場合もありますが、逆に厳しいだけで何の優しさも感じられない場合もあります。 人間は、優しさに裏打ちされた厳しさには耐えられますが、厳しいだけの人間には心理的になかなか従えないものです。優しさは強要されるものではなく、自然に感じられるものだからです。 よく、どこの組織でも、厳しい上司がいるものですが、優しさに裏打ちされた上司にはお目にかかれないのが普通です。ほとんどが自分の非がないように、保身にのみ走っているというのが本性や本音だからです。 だいたいは厳しい接し方の上司の性格には、三通りあります。
ひとつは、「この仕事は徹夜してでもやってくれ」と指示を出す上司ですが、これは組織上緊急性があるのであれば、この厳しさはやさしさうんぬんとは関係なく、仕方ないことでしょう。
二つ目は、「この企画書には新規なアイディアが一つも含まれていないので、至急企画書を練り直せ」という上司ですが、これはある意味では、仕事を教えようとしている姿勢があるので、部下を育ててやろうという心理が潜んでいます。
最後は、理由を明確にせずに、「この企画書ではダメだ。こんな出来栄えでは役員に説明できないよ、もう一回、再考だ」などと、いい加減なことを指示する上司です。 こういう指示では、何が悪いので、どこをどう直せば良いのか分からないため、部下として一番困ります。この件で関係者が揃って議論しても、「ああでもない、こうでもない」といろいろと意見が出されるだけで、上司の考えていることのポイントが押さえられないのです。 こういう上司の性格や本性は、じつは自分の保身しか考えていないので、優秀な部下の芽を摘み取るだけが目的みたいなものです。頭ごなしに言われたら、やる気をなくして、いくら優秀な部下でも本来の実力が発揮できません。 少なくとも、部下を育てる気がある上司なら、「部下の企画書の良い部分をほめながら、もう少し、このような方向で修正したらどうだろうか」という言い方になるはずです。 要は、大切な指示が出せずに、たんにやり直せというような上司は、自分に仕事の能力がないことを表明しているようなもので、自分の権限を見せ付けているだけです。
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