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ネットの世界で、たびたび目にするのが、「炎上」という言葉です。 問題発言をした有名人だけでなく、一般人もツイッターやユーチューブで未成年飲酒自慢、犯罪自慢などをすると、たちまちリツイートさり大勢の人の目にさらされて、大炎上してしまうこともあります。 なぜ、そんなことが頻繁に起こってしまうのでしょう。 第一の要因としてあげられるのは、ネット社会の匿名性です。 自分を隠せるという安心感から、ネット上で普段よりおしゃべりになる傾向があります。それだけなら、話せないようなことも気軽に話せる、いいツールとして機能するはずなのですが、その一方で、匿名性は自分というものを希薄化してしまいます。 そのような状態だと、自分よりも集団を重視して、社会の一員としてまとまろうとする意識が働きやすくなります。気づかないうちに、みんなで悪い人を叩こうという気持ちになりやすいのです。 ★しかも、そうした集団内では、意見を交わせば交わすほど極端な結論を導きやすくなります。それを心理学では「集団成極化現象」といいます。 普通、さまざまな人が集まって話し合えば、無難な意見に結論が落ち着くところなのですが、ネット社会では逆のことが起こるのです。 そのうえ、炎上したときに批判のコメントを投稿する人たちの多くは、自分のことを正義だと思っています。 悪いことをした人間は裁かれて当然、なにをされても文句は言えないはずだ、こちらが満足する謝罪をしろ、誠意を見せろ、悪いことをしたからには苦しめ。罰を受けろと考えてしまうのです。 「人間は自分の正体が隠せると、攻撃性が増す」という心理実験もあり、ネット社会はまさにこれで、ただでさえ意見が言いやすい上に、より攻撃的になりやすいです。だから、炎上は起こるべくして起こるということです。
赤提灯(ちょうちん)といえば、居酒屋の代名詞のようになっていますが、この居酒屋の提灯はなぜ赤いのでしょう。 江戸時代の飲み屋の軒先には、白い提灯がぶら下げてあって、それに墨で屋号を書いていたということですが、それをある居酒屋が提灯を赤くしたところ、大当たりして、店は繁盛したということです。それがもとで、他の居酒屋も軒先に赤い提灯を吊るすのが定番になったそうです。 ★それでは、赤提灯は、どうして客の心を掴んだのでしょう。 @ 人の心と体は色の影響を受けやすく、その一例が「筋肉反応」で、赤い色を浴びると。私たちの筋力は約12%もアップするといい、行動力をアップします。 A 赤には食欲も増進させる働きがあり、赤い色を見ただけで食欲が出て、何かを食べたくなったり、飲みたくなったりする作用もあります。 B 赤の誘目性(目立ちやすさ・発見されやすさ)が高く、識別性(複数の対象の中での区別・認識のしやすさ)がとても高い色でもあります。消火器や一時停止の標識に赤が塗られているのはそのためです。 C どんなに酔っていて意識が朦朧としていても、人間が最後まで識別できる色は赤だといわれています。血の色が赤だということも大いに関係があるのでしょう。 ですから、どんなに酔っぱらっていても、赤提灯だけは目に入るため、ついもう一杯ということになるようです。
人の情報の70%以上は視覚で取り入れられるとされており、色には人の心理に働きかける力があります。色は人の感情を刺激するので、それぞれの色が持つ印象のことを「色彩感情」と呼ばれています。 一般的に火事や交通事故、自然災害などの非常事態が起こったときには、そのイメージにふさわしいのは「赤色」だと考えるのではないでしょうか。信号や踏切で危険を知らせるランプは「赤」ですから。 ただ、建物内で起こる非常事態というのは、ほとんど火事の場合が多く、火事になれば火の海になり、「赤」や「黄色」で染まってしまいます。そのとき、建物内の人たちは、必死に非常口を探すはずです。 ですが、そのときに、非常口のマークが「赤」や「黄」では、炎の色とまぎれて見えなくなってしまいます。それでは、マークは役に立ちません。 そこで考えられたのが、「緑」と「白」の配色というわけです。 ★なぜ「緑」なのかといえば、緑が赤の「補色」だからです。 補色とは、その色とはまったく反対の要素を持った色のことで、お互いの鮮やかさを強調し合って、互いに目立たせる効果があるのです。 マグロの赤身の刺身に、よく緑の大葉や笹の葉が添えられているのは、その効果をねらってのもので、そのほうが赤身がより新鮮に際立って見えるからです。
激安スーパーなどでは、「1円ポッキリ!」などと表示して、その日の目玉商品として、破格の低価格商品が店頭に並ぶことがあります。あるいは、レストランなどでも、本日に限り牛丼が100円と銘打つことで、大行列になることもあるでしょう。 なぜ、そのような破格の値段で商品を提供できるのかと言えば、それには客の心理的なからくりがあるのです。 たとえば、「数量限定」「時間限定」であること。数量限定のタイムセールであれば、店側は採算割れを想定内に収めることができます。しかも限定することで、消費者に「今を逃がしたら手に入らない、今手に入れないと損かもしれない」という危機感を抱かせます。 ★「希少性の原理」といって、人間には「手に入りにくくなると貴重に見えてくる」という心理が働くのです。 ですから、少しでも安く商品を手に入れたいと思っている消費者は、我先にと店にかけつけることになります。売り手側は、極力安い商品を仕入れるという企業努力をする一方、人間心理もちゃんと心得ているのです。 ★つまり、人には「一貫性の原理」が強固に働くもので、人の心理には、一度買うと決めたことを貫き通そうとする習性があります。私たちは、自分の考えや行動に一貫性を持たせたいと望む生き物です。 この心理が働くのは、数量限定のタイムセールが終わったことで、行列に並んだのに商品が手に入らなかったようなときです。お目当ての商品が手に入らなかったら、そのまま帰ればいいのですが、多くの消費者はそういう行動をとらないのです。 一貫性の原理が働いて、人は「買う」という行動を貫きたいと望むのため、他の商品で安そうなものを買いあさってしまうということです。 結果として、売り手が損をするどころか、売り上げを伸ばすことになるというわけです。
同じ鶏の唐揚げでも、大衆酒場では500円でも高く感じるのに、高級割烹料理店では900円でも安く感じるという経験はありませんか。 ★心理学に「アンカリング効果」という用語があり、それは、人は何かの情報が提示されると、その情報を基準(アンカー)として判断を下すようになるという状態を指すものです。 たとえば、大衆酒場は概して安いという印象があるため、その情報を受け取ると、「安さ」が「アンカー」となるため、500円は高すぎると感じてしまうのです。 一方、料亭なら、最初から高いという印象を持っているため、「高い」が「アンカー」になるので、900円でも安く感じてしまいます。 また、1万円のコース料理を高いと思うか安いと思うかの判断をする場合、「同じような料理を飲み放題付きで5千円で出している店がある」と聞かされれば、ひどく高いものに感じられますが、「いつも1万5千円のコース料理が、今日はサービスで1万円になっている」と聞けば、安くてお得なように感じてしまいます。 これは受け取る情報の基準(アンカー)によって、私たちの判断は大いに影響を受けてしまうわけです。 この効果は消費者に衝動買いを促す方法として、大いに活用されています。 @ 「特別価格1万円」 A 「通常価格3万円⇒特別価格1万円」 と値札がついていたら、おそらくAの-方を選ぶでしょう。それは3万円がアンカーになっているため、1万円がとてもお得に感じてしまうからです。
誰にでも経験はあるでしょうが、たとえば、新しいブランドものの高級バッグが手に入ったとしますと、これまでつけていた指輪やイヤリングが何かみすぼらしく感じるようになり、それにあわせてレベルアップしたイヤリングや時計なども欲しくなってくるものです。 あるいは、家を新築にすると、これまでの家具や電気製品が、新築の家に似合わなくなり、だんだんと新しいいいモノに買い換えたい衝動にかられます。 ★これを心理学用語では、「ディドロ効果」と呼ばれています。 いつもの通りの日常に高いレベルのものが入ってくると、それにつられて、ほかのものまで高いレベルに合わせたくなる心理を言います。 ひとつブランドものを手に入れたおかげで、すべての服や小物をブランドでそろえてしまいたくなってしまうのも、この心理が働くからです。 人は本能的といっていいほど統一感を好む生き物で、そして、自分でも一貫性を保ちたいと思い、人からも一貫していると思われたい願望があります。 ★この心理は、整形手術でも働くようです。 顔のどこかのパーツを整形手術した人の中には、ほかとの釣り合いが取れなくなって、目から鼻から口から次々に整形をしていく人がいます。 それでも飽き足らず、理想の自分を追い求めて、ついには体中にメスを入れてしまう人もいるほどです。 これからブランドものを買おうとしている人や、整形手術をしようと計画している人は、その可能性があることを十分に心得ておきましょう。
車を運転する人なら、トンネル内でふしぎな感覚に襲われた経験があるはずです。 たとえば、前の車が止まっているように感じたり、左右の壁が迫ってくるように感じたり、なぜか運転がふらついてしまったりなどです。 ★その原因は、トンネルという空間が人に錯覚を覚えやすいからです。 車でトンネルに入ると、入る前よりもスピードが落ちる傾向があります。それは、トンネルに入ったことで急に道幅が狭くなった(壁が迫ってくる)ように錯覚して、無意識のうちにアクセルペダルを緩めてしまうからです。 前の車が止まっているように感じるのも、目の錯覚が原因です。 ドライバーは周囲の景色が流れることで速度を感じています。この視覚的な刺激を「流体刺激」と言うそうです。 ★トンネル内では、景色が壁だけになり流体刺激が弱まるので、速度の感覚を失いやすく、スピードコントロールが難しくなるのです。 そのため、前の車と同じ速度で走っていると、まるで前の車と自分の車が止まっているような錯覚を覚えます。そんな現象を「追従静止視界」と呼ばれています。 そういうとき、前の車がブレーキを踏んでもすぐに対応できません。追突する危険性もあります。思わぬ事故を防ぐためにも、トンネル内では前の車との距離を意識的に延ばしたり、もっと先のほうに視線を移したりして、錯覚から逃れる努力をする必要があります。 ★さらに注意したいのは、「視覚吸引作用」によるふらつき運転です。 人間は危険なものを注視すると、そのものに近寄ろうとしてしまう性質があります。 トンネル内でドライバーが思わず注視してしまうのは、前の車のテールランプです。それを見続けていると、視覚吸引作用が起こって、知らぬ間に前の車との車間距離が縮まってしまうこともあります。 車を運転する人は、トンネル内で起こる、こうした視覚に十分注意されてください。
「まったく売れてないけど、頑張っているアイドルの追っかけをやっている」 「選手がギリギリ9人しかいない高校野球チームと聞いて、俄然応援したくなった」 「ティッシュ配りで苦労している学生を見て、自分からもらいにいった」 この三つのシチュエーションは同じ心理が働いています。 ★それが「アンダードッグ効果」です。 アンダードッグとは負け犬のことであり、弱い立場にある人や困っている人を見ると、その人に手を差し伸べて応援したくなる心理が働くことをいいます。 ただし、弱い立場にあるからと言って、すべての人が同情されるわけではなく、その人から、一生懸命さや、ひたむきさが伝わってこないと、アンダードッグ効果は働きません。 人は「一生懸命なのにうまくいかない人や、不利な立場の人」「頑張っているのに報われない人」を助けたくなり、好きになるのです。 中には、人の同情を買いたいばかりに、弱さを演出する人もいますが、それが演技だとバレてしまったら、その反発も大きいものがあるでしょう。また、一度、手を差し伸べてもらったからと言って、いい気になっていると、しっぺ返しを食らう場合もあるので用心することです。 ただ、人によって感じ方は違いますので、必ずしも弱さを見せたからといって、同情されることなく、いっそう厳しい対応をする人もいますので、アンダードッグ効果は万能ではないことも知っておきましょう。
あなたは、人間そっくりのロボット(アンドロイド)を見て、なんとも言えない違和感を覚えたことはないでしょうか。 中には、「気味が悪い」とか「不気味」と思って人もいるかもしれません。 ですが、思ったからといって自分の感性を疑う必要はありません。それは誰しもが感じていることだからです。 ★ロボット工学の森教授は、それを「不気味の谷現象」と名づけられたようです。 教授によると、「ロボットがより人間に近づいていくほど、人は好意や親近感を覚えるようになるけれども、ある時点になると、突然、強い嫌悪感を覚える」というのです。 もし、あなたが人間そっくりに作られた受付嬢やアイドルのロボットに違和感を覚えるとしたら、それはまさに「不気味の谷現象」をあなたが体験したということです。 ロボットは、当初は作業ロボット程度で、いかにも機械という感じがしていましたが、最近では、姿形そのものも人間の格好に近づいてきています。ですが、人に似てくると、確かに今度は不気味さを覚えるようになり、よく見ると、口や目の動きに不自然さを感じます。それが「不気味の谷」というのでしょう。 ですが、もう少しもロボットが進化して、人間の動きと同様に近づけば、共感や親密感は再び高まることでしょう。
人気のラーメン店やレストランでよく見かける行列ですが、並んですぐなら「今日はやめておこう」と列から離れることができるのに、しばらく並んでいると、どんなにうんざりしていても、列から離れられなくなってしまう経験はないでしょうか。 何度も時計を見ながら、「ああ、並ばなきゃよかった」と後悔しつつも、行列から離脱できないのは、「コンコルド効果」の働きと考えられます。 ★コンコルド効果とは、「今ここで諦めてしまったら、これまで自分が費やしてきた費用や労力が無駄になってしまう。だからもう少しだけ続けてみよう」という心理状態のことです。 このコンコルドという名称は、かつてイギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機の名前で、開発当時から、お金がかかって採算ベースに乗らないと危惧されていましたが、すでに相当の経費を注ぎ込んできた経緯から、開発をやめることができなくなったということです。このため、赤字覚悟で開発を進めたわけです。 同じ心理は、ギャンブルでもよく働きます。 「また負けた。でも、もう一回、もう一回勝負すれば一発逆転できるかも」 これこそがコンコルド効果の呪縛です。 興味深いのは、コンコルド効果は幼児には働かないということです。時間や労力への対価を求めるのは、大人にしか働かないのです。
世の中には、ブランド品が大好きな人がいます。 ブランド品をたくさん買い揃え、身につけることにステイタスを感じ、ブランド品をどれぐらい持っているか、身につけているかで相手の評価まで変えてしまう人もいるほどです。 ★ブランド品に夢中になっている人の心理を表す言葉に「ヴェブレン効果」があります。 ヴェブレン効果とは、ブランド品のように価格が高く設定されたものを手に入れることにより、自己顕示欲が満たされることを言います。 たとえば、1本500円のワインと10万円のワイン。見た目は同じようなものでも、満足度も違えば取り扱い方も変わってきます。高価なほうが所有欲も満たされるでしょう。 商品は、基本的には安いほうが消費者の購買意欲を高めますが、価格を下げればいいというものではなく、あえて高い価格に設定したほうが売れる商品もあります。その一例がブランド品です。 高いものを買い、それを身に着けることで、自分の価値まで上がったような錯覚を覚えることができるのです。 ★そこで働くのが「同一視」という心理です。 同一視とは、憧れの対象が持っているもの(強さ。華やかさ、美しさ、優秀さなど)に自分を同化させて満足しようとする心理をいいます。 ブランド品を身につけることで、自分までブランド品と同じように価値が高まったと思い込むことができるというわけです。それだけではなく、ブランド品が持つ社会的評価や価値も自分に付加させることができます。自分のステイタスが上がったように感じるのです。 裏を返せば、ブランド品が好きな人ほど、実は強い劣等感を抱いているという可能性があるということでしょう。
私たちは普段、何げなくコンビニに寄って、弁当を買ったり雑誌を読んだりしています。その行動が実は知らず知らずのうちに誘導されていることを知っていますか。 というのも、コンビニは、心理学の技術の応用の場であるといっても過言ではないほど、心理学の知識が応用されているのです。 コンビニは、どのような準備をすれば、お客が商品を購入するのかということを考え、具体的に展開してます。 ほとんどのコンビニでは、出入り口のそばには雑誌棚が設けられており、ここで立ち読みをしている人を見かけますが、書店では嫌われても、コンビニでは、さほど文句を言われることはありません。 それには、もちろん理由があり、外から店内が見渡せるお店で店員しかいない場合、入店するには若干の抵抗感があるものです。ですが、先客がいればすんなり入れます。それは「ほかにも人がいるから大丈夫」という「同情心理」が働くからです。 また、人は右利きが多く、無意識に右手で商品を取るので、左回りで行動する傾向があり、そのため、売れ筋の商品は、「左回りの右側」に配置するのがコンビニの鉄則になっています。 そして、コンビニにはたくさんの商品が並んでいますが、よく見ると、弁当は数種類しか置かないなど、種類を厳選しているものもあります。 それは、お客の「目移り」を防止するため、人間には商品を選びたいという欲求がある一方で、「決定回避の法則」といって、選択肢が多すぎると目移りをしてしまい、選べなくなる習性があるからです。 狭いスペースのコンビニの場合、混雑する昼食タイムに客が商品の前で長時間迷っていると売り上げに影響します。だからこそ、商品数を限定しているのです。 なさそうである、それでいてあり過ぎない、そんな絶妙な品揃えになっているのがコンビにの特徴です。 |
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