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幼少時、母親の乳房を吸うことで得た喜びや、母親から口移しで生命力を与えられた喜びを十分に体験した人には「唇を触れ合うことによって幸せが得られる」ということがインプットされます。 そして、大人になって再び味わうチャンスが訪れたときには、自然に唇を求めるようになります。キスをすることによって自分も相手も愛情と快楽を得られるということを理解しているからです。
このようにキスは、恋人同士の間で交わされる愛の証、そして性的刺激として用いられますが、もともとは、母親と乳児の間で行われていた授乳行為、そして離乳行為に端を発していたのです。 精神分析では、生まれたばかりの乳児がこの世ではじめて経験する快楽は母親の乳房を吸うことだといわれています。 母乳は、まさに母親の愛であり、愛情を求める乳児と愛情を与えつづける母親との間には深い信頼関係が築かれ、乳児はそれを唇に記憶します。そして、離乳の時期になると、離乳食を体験しながら、乳児は幼児へと成長します。 今は便利な離乳食が多く市販されていますが、かつては母乳から固形食に切り替えるこの時期に、母親は自分の口の中でかみ砕いた食べものを口移しで与えていました。母親から食べものを与えられるということは、生きていく力を与えられるということです。そして、その喜びは、唇と唇の接触からもたらされていたわけです。
@ 積極的にキスを求める人 相手もそれを望んでいると信じて疑わない人です。自分自身が唇によって快楽を体験しているから、それをイヤがる人間がいるはずなどないと思っています。だから、好きな相手に拒否された場合には、大きな戸惑いを見せるでしょう。 A 自ら積極的に求めはしないが、相手のキスを受け入れる気持ちはある人 唇の接触によって快楽を得る体験はしているものの、十分な満足感を得られないまま、どこか物足りなさを感じつつ生きてきた人です。何かの事情があって母乳を十分に与えられなかった、幼いころから母親と引き離された、などの理由が考えられます。 B キスを毛嫌いする人 恋愛関係にあるにもかかわらず、みずからまったく求めないどころか、相手からの要求にも応じませんそぶりを見せて近づけば、サッとかわします。こういう人は、キスと快楽とが結びついていません。幼いころに結びつくような体験をしてこなかったからでしょう。 本能による性的な結びつきは求めるのに、唇によって接触を嫌う場合は、人を愛し、人に愛されるためのプロセスの一部がすっぽりと抜け落ちているのです。
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